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メッセージ

世話人
伊藤 光保
【愛知】
内科伊藤医院

高校2年の冬までは、官僚を目指していました。その頃この地域は、大気汚染公害の激甚地区となり、小さな子供が喘息発作で苦しんでいるのを目の当たりにして、これではいけないと、医学部に志望変更しました。それから医学部在学中も、環境保護の住民運動の中で活動し、その中で知り合ったキリスト教関係者から頼まれて、研修医になってからは、野宿労働者の健康相談のボランティア活動も行ってきました。これも今年で30年になります。命の重さに変わりは無いという信念が、これまでの医者としての仕事の支えとなってきました。

公立病院勤務医時代は、肺癌治療の専門医として、あるいは呼吸器救急の専門医として、月に360時間働き、年に150枚近い死亡診断書を書くという生活でした。さらに上記の活動も続け、実際には400時間を越える労働時間だっただろうと思います。そうした中で、受け持ちの患者さんが、同時に3人亡くなるという経験をして、癌の末期の方や御高齢の慢性的な呼吸器疾患や誤嚥性肺炎の方が、長く病院に入院し続け、病室で寂しい死を迎えるのは間違いではないか、命を粗末に扱っているのではないかと考えるようになり、18年前に24時間体制で在宅療養支援もできる診療所を立ち上げました。

しかし大都市近郊の衛星都市の住民は、大病院の専門医志向が強く、開業医はレベルが低い、金儲けではないかという批判も浴びて、経営上は苦戦を強いられる状態が続いています。前記の活動からの人間関係もあって、開業後は、ALS協会を初め難病の各種当事者団体や、認知症の家族会からの支援の依頼もあり、むしろボランティア活動のほうが忙しくなる状態でした。こうした活動と繋がりのある政党から、介護保険開始直前の厚生大臣が出たことから、その基礎調査の活動に加わったことが大きかったと思いますが、現在は介護保険や環境保護の行政の委員も務め、微力ながら行政と市民の協働に関っています。

以下の話を、この地域で12年前にした時には、お前は宇宙人かと言われましたが、当事者の目線に近付くことを意識しながら、在宅療養支援・医療活動を行っていくこと、住民の中にある強くキュアを求める意識を変えていくこと、そのための地域のシステムを、徐々に創っていくことだと思っています。しかし、自分自身が昨年、癌の手術を受け、一緒に活動をしてきた仲間も、次々に倒れてきている状況では、場合によっては、あまり時間は残されていないかもしれません。次世代を育てる、あるいは見つけていくことも、現在の課題であると考えなければいけないのかもしれません。