大会長あいさつ -鈴木央-

第3回全国大会 大会長 全国在宅療養支援診療所連絡会 副会長 鈴木 央

このたび、全国在宅療養支援診療所の第3回全国大会の大会長を拝命した鈴木央と申します。 私は、東京都大田区で医師一人の診療所で外来診療、在宅医療を行っております。そのような地域医療の最前線でも、近年の在宅医療推進は新たなステージに入ったとの実感があります。 診療報酬等の整備が進み、地域の中で少しずつ在宅医療を行う診療所が増えてきました。医師会の理解、市区町村行政の理解も得られるようになり、地域包括ケア達成のため在宅医療推進は重要な方策の一つという視点は、全国に伝わったように思われます。

しかし、一方で同一居宅への訪問診療料、管理料の減額にかかわる問題では、在宅医療の質が問われていると理解しています。 いかに良質な在宅医療を地域に広め、その量と質を担保するのか、本会に課せられた大変大きなテーマのひとつであると考えております。 大都市圏と地方都市、過疎地域でも在宅医療の姿は変わってきます。それぞれの地域で最も適した在宅医療の提供体制についても考えていく必要があります。おそらく地域医療全体の提供体制を考えていかないと、その結論は出ないのだと考えられるのです。今後地域医療構想の中で、日本の医療体制は大きな転換を迎えることになります。その中では、より在宅医療の立ち位置、役割が重要になってくるものと思われるのです。

また、在宅医療の大きな役割の一つに生活の中での看取りが挙げられます。終末期医療の質を向上させるためには何が必要でしょうか。緩和医療技術も必要であると考えらえますが、スピリチュアル・ペインへの対応、あるいはその人がどのような人生を生き、どのように現状を受け止めているのかという「ものがたり」に対する理解も重要な因子になると考えられます。これらはエビデンスを作ることが大変困難であるため、医学教育の中では顧みられてこなかった領域です。この部分についても、今回は取り上げてみたいと考えております。

様々な課題が山積している状況ですが、本会が会員の総力を結集し、その課題を克服することにより、地域に、そして日本という国の医療を支えることになると私は信じております。その意味で、全国大会で様々な方々にご参加いただき、討論することが極めて重要と考えて居ります。一人でも多くの皆様にご参加いただき、明日の日本の医療について考え、討論し、最終的にはより良い方向に変えていく機会になれば幸いと考えます。 私のような、ただの町医者が、このような責任ある立場で会を運営することができるどうか、はなはだ自信がないのですが、皆様のご指導やご支援をいただきながら運営をさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。


第3回全国大会 事務局長  医療法人ゆうの森 理事長 永井 康徳

 2014年に第1回を行った在宅療養支援診療所連絡会全国大会も今回で、第3回となります。東京ステーションカンファレンスで、在宅療養支援診療所に属する医師を主体に様々なプログラムを用意していきましたが、第3回はプログラムを2列から3列と増加し、コメディカルの方々にもご参加いただけるようなプログラムを用意しました。在宅医療は、単独職種で実践できるものではありません。患者さんにかかわる多職種のチームでサポートし、病気だけではなく、生活や人生を支えることができなければ、満足した療養は行えないでしょう。多職種のチームで患者様を支えるチーム作りの機会となれば幸いです。

 国が進めていこうとしている地域包括ケアシステムは、「亡くなる最期まで住み慣れた場所で過ごせるよう、地域内で患者本位を貫ける多職種でのチーム作りをし、病気だけではなく、人、生活、家族、生き方、地域をみる医療と介護を提供して、患者本人が自分らしく生きることを支援する地域を作っていくこと」ではないかと私は思っています。患者様が住み慣れた地域で自分らしく生きることができるような支援をしていけるように、地域の中で様々な多職種のチームやシステムが整備できるように、この全国大会が一つのヒントやきっかけになればと思っています。

 在宅医療を国を挙げて推進する時代となり、私たち全国在宅療養深淵診療所連絡会の役割も大きくなってきました。行政や医師会の方から「在宅医療をやらなければならない」という覚悟のような言葉をよく聞きます。しかし、「国が推進しているから」とか「診療報酬で誘導されるから」ではなく、「在宅医療をやりたい」と思って、在宅医療が普及していくように目指していくのが私たちの役割だと思っています。在宅医療は、やりがいのある素晴らしい医療だと思っています。国民が望む在宅医療を、在宅医療をやりたいと思う医療介護従事者が実践していけるような地域作りを目指していけたらなと思います。